私は子どもが中学生になるまで専業主婦をしていました。その後パートに出ましたが、ママ友との会話の中で言われた「主婦も立派なスキルだよ」という言葉がとても印象に残っていたんです。我が子の中学受験に伴走した経験や、主婦の経験は仕事にできるということがずっと気になっていた中で、メディアでタスカジの広告を見て「これだ」と思って飛び込みました。

――主婦として培った家事スキルを活かしてタスカジさんになったのですね。依頼者様から普段お受けしている仕事内容をお聞かせください。

整理収納と掃除のご依頼をお受けしています。整理収納は専門のスクールで理論を学び、知識や技術を身につけました。掃除は家庭の主婦としてやってきた経験と、タスカジ認定資格の「家事クリエイター」講座で教わったことをベースに実践しています。

「片付いている」状態のゴールは人それぞれ。大切なのはその人にとって快適な空間にすること

――ハルさんにご依頼者される方はどういった方が多いですか。

最近はフルタイムでご夫婦ともにバリバリ働くご家庭も多いので、「忙しくて家の中の片付けや掃除まで手が回らない」という方が多い印象です。また、「散らかっていてどこから手をつけていいかわからない」と困っている方もいらっしゃいます。そういった依頼者様の多くは、片付けられないことに対して罪悪感を持っている場合も多々あります。

また私自身が子どもの中学受験を経験していることから、小学校時代の勉強の進め方や、教材が増えるに従ってどれくらい収納スペースが必要になるかなどをご相談いただくこともあります。

――片付けられないことに悩んだり、罪悪感のある依頼者様が家事代行を頼みやすくするために、ハルさんが気をつけていることはありますか。

私は自分のプロフィールページに「事前のお掃除は必要ありません」と明記しています。それを見てご依頼くださる方は非常に多いですね。事前に掃除しないで、ありのままを見せてもいい人として呼んでくださいます。

またお宅にお邪魔した際も依頼者様は「片付いてなくてすみません」とよくおっしゃいますが、「片付いていないお家に行くのが私の仕事なので、気にしないでください」と伝えます。とにかく笑顔でお話して、依頼者様の心理的負荷を軽くすることを常に心がけています。

ハルさんのプロフィール

――依頼者様に寄り添った対応をされているんですね。素晴らしいです。

片付いていない状態に罪悪感を感じる依頼者様の多くは、繊細な方が多いように思いますね。繊細だからこそ、空間がごちゃごちゃするとその情報量にエネルギーを取られてしまい、混乱して手が動かなくなってしまっているのではと思います。

「片付いている」というゴールは人によって違いますし、ホテルのように生活感のないきれいさを居住空間に求めるのは難しいものです。日々の生活を送るうえで依頼者様がどのレベルを目指したいか、そしてそれを実現するのが一番大事なことだと伝えています。まずは片付けのハードルを下げて安心していただくことが重要だと考えています。

やりがいを感じるのは、整理収納を通して依頼者様の気持ちの変化に立ち会えたとき

――依頼者様のお宅では、どういったタイムスケジュールでお仕事を進めていますか。

ご依頼の時間が3時間の場合、最初の30分ほどは片付けたい場所を見せていただきます。3時間でお家や部屋全体を片付けるのは難しいので、今日特にきれいにしたい場所に絞って作業を進めます。そして、見せていただいた場所を一緒に分析します。普段は誰がどんな風に使っているのか、今ここに何があるのか、ここをどう使いたいと思っているのか。まずは思考を整理してから、一緒に手を動かすようにしています。

基本的にはすべてモノを出して作業するのですが、依頼者様のメンタル面に配慮しながら半分だけに留めることもあります。とりあえず半分だけ出して手を動かしてみて、気分が乗ってきたようなら片付けるモノの量を増やします。そして作業時間の3分の2が過ぎたあたりで、収納の段階に入ります。

――依頼者様の状態に合わせて柔軟に対応しているんですね。整理収納については、依頼者様にどのようなアドバイスをしていますか。

収納用品は依頼者様のお家にあるものを使いますが、もし足りない場合や「ここに入れる収納用品は何がいいですか」とアドバイスを求められたら、私が自作した資料をお見せします。いつも収納用品の一例を写真つきで持ち歩いているので、それを見ながら「これだとこんな風に使えますよ」とおすすめします。資料は自由に写真撮影していただき、「これを買ったらまた連絡するから来てね」と言ってくださる方もいらっしゃいます。

――最初はメンタル的に落ち込んでいる依頼者様も、作業が進むにつれて変化が見える場合もありますか。

一緒に作業をしていると、徐々に依頼者様の手が動くようになったり、笑顔が出てきたりすることも珍しくありません。やはり「片付いていない」という状態でいっぱいいっぱいになってしまっているんだなと感じます。

精神的・肉体的にお疲れの依頼者様も、「家の中をなんとかしたい」と思って勇気を出して私を呼んでくださっています。ですから、その時点で相当なエネルギーを使っているんですね。そういう方には「今日は私にお話をしてもらうのが依頼者様の仕事です。私はとにかく手を動かすので、どうしたらお家の中がより良い状態になるかを一緒に考え、ぜひ相談に乗ってください」とお伝えします。

最初は見ているだけの依頼者様も、だいたい1時間ほどすると一緒に手を動かしてくれる場合が多いです。ご本人の目の前で片付いていない状態を解決することで、少しずつ行動できるようになるのかなと思います。

依頼者様の心に徹底的に寄り添ってストレスを取り除きたい

――タスカジさんとして活動する中で印象に残っている出来事はありますか。

妊娠中に依頼を下さった方が出産されて、新生児期からお家を整えながら、ご家族が成長する姿を見せていただいた経験があります。家族構成が変わったり、ライフイベントをきっかけにお家の中が大きく変わる瞬間に立ち会えたことは、私にとってとても嬉しい経験でした。

また、ご家族の闘病中に、少しでも居心地の良い環境にしたいということで呼んでくださった方もいました。何度かお伺いする中でそのご家族が亡くなり、今度は遺品整理をお手伝いしたこともありましたね。闘病中から知っている方が亡くなった後の片付けもご一緒して、ご家族と思い出を振り返りながら作業をしたのは心に残る出来事でした。

――ハルさんが整理収納の依頼をお受けする際、心に留めていることは何でしょうか。

私はお家が片付かない状態を特殊なテクニックでどうにかするのではなく、その状態が依頼者様に与えるストレスを少しでも軽減することで解決したいと思っています。「あなたのストレスに寄り添いたい」という気持ちをプロフィールにも書いているので、依頼者様がその部分をキャッチしてくださったら嬉しいですね。中にはプロフィールを見て「あなただったら嫌な思いをせずに3時間過ごせそうな気がした」とお声がけいただくこともあり、とてもありがたく思います。

――タスカジさんは依頼者様のご自宅というプライベート空間に入る仕事なので、ストレスのない時間を提供できるのは重要なことですよね。

家事代行の仕事というと、「知らない人のお家に行くのは怖くないの？」なんて言う人もいますが、依頼者様はもっと怖いと思うんです。知らない人が自宅に来て、家の中のものに触るからです。欧米ではハウスキーパーなどが普及していますが、日本はまだまだ浸透していないので人によっては抵抗があると思います。そういった怖さや面倒な手順を乗り越えて私にお声掛けいただけるので、その気持ちにしっかりと応えられる自分でありたいです。

依頼者様やタスカジさん仲間に支えられての「タスカジさんアワード」受賞

――今回、ハルさんは「タスカジさんアワード」のMVPとコミュニティ貢献賞の2部門で受賞されました。おめでとうございます！受賞の感想をお聞かせください。

依頼者様が素敵なレビューをくださったり、繰り返しご依頼いただいたことが評価されて受賞につながったので、皆さんに「いつもありがとうございます」とお伝えしました。私の依頼者様は本当に良い方ばかりで、私が仕事しやすいよう気づかってくださるので心から感謝しています。

私自身は受賞をまったく予想していなかったのでとても驚きました。それもこれも良い依頼者様に巡り会えたこと、事務局の皆さんが困ったときに温かくサポートしてくれたこと、「タスカジトーク（※）」で一緒に悩み考えてくれる仲間がいたこと、それらすべてに支えられた受賞だと考えています。

（※）タスカジさんのオンラインコミュニティの名称

――タスカジさん同士が交流できる「タスカジトーク」を積極的に活用いただいていますが、仲間がいることでお仕事にも良い影響がありますか。

私たちは個人事業主で会社員のように組織に所属していないので、何かあった時に相談し合える場所として「タスカジトーク」があるのはとても心強いです。タスカジさん同士の横のつながりがあることで、「みんな同じところで悩むんだな、私だけじゃない」と安心できます。

積極的に知識を身につけ、もっと依頼者様のお役に立てる自分に

――ハルさんが普段、成長のために取り組んでいることはありますか。

普段はYouTubeなどで整理収納の動画を見て、私だったらこうするなというのを考えています。また、外出先で収納用品を販売している店があれば必ずチェックしていますね。整理収納関係の書籍もなるべく読みます。間取りを学ぶ本など色々な情報を仕入れているので、タスカジさんを始めた当初よりも知識をつけて成長できていると思います。

――ハルさんの今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

今は事務局や先輩方、依頼者様に助けていただくことばかりなので、いずれ恩返しできる自分になりたいと思います。また現状の仕事ペースは月20〜25件（60〜75時間程度）なのですが、これももう少し増やしたいですね。

今は家族の都合に合わせて時間を決めていますが、自分が仕事しやすい形でスケジュールを組めるのがタスカジの良いところです。今後はお家の中をじっくりお片付けできる長時間枠を設けるなど、稼働を増やしてどんどん依頼者様のお役に立てる状態を目指します。

――整理収納や掃除の家事代行を頼んでみたい！と考える依頼者様に向けて、メッセージをいただけますか。

お家が片付いていないからとか、汚れているからという理由で家事代行をためらう依頼者様はとても多いです。でも、タスカジさんは「お家が汚れている・散らかっているから嫌だ」なんて思う人は一人もいません。なぜなら、それを解決するのが仕事だからです。

依頼者様には「こんな部屋を見て引かれないかな」ということは気にしないで、ぜひ一度お声かけいただきたいと思います。そうすればきっとご自身の問題が解決できてストレスが減り、タスカジさんとの良い出会いにもつながるのではないでしょうか。

これまでの人生経験すべてが活かせるタスカジの仕事

――これから「タスカジさんになりたい」と考える方へ向けたメッセージをお願いします。

私が伝えたいのは「家事は立派なスキルだ」ということです。これは私もタスカジさんとして実際に経験したことなので、自信を持って言えます。家族のために日々やっている家事が、他のお家のサポートにもつながることが実感できるはずです。

もし会社員経験のある方なら、ファイリングなどの作業も整理収納につながるスキルです。専業主婦、子育て、会社員、パートで培った知識や経験など、今までの人生すべてがタスカジさんの仕事にきっと活きると思います。勇気を出して一歩踏み出したら、依頼者様との素敵なご縁が広がりますよ。

――「家事代行をやってみたいけど、私のスキルで大丈夫かな」と心配な方に何かアドバイスはありますか。

私は整理収納をスクールで学びましたが、掃除については主婦経験のみだったので心配でした。でもタスカジには「タスカジゼミ」や「家事クリエイター講座」など、タスカジさんのスキルアップを応援してくれる場がたくさんあります。

特に「タスカジゼミ」では、お掃除の基礎はもちろん、依頼者様とのコミュニケーションで大事なポイントや、依頼者様のお家で作業をする際の心構えや所作まで丁寧に教えてもらいました。教育面が充実している部分も、私がタスカジで安心して働ける理由の一つです。

現場に出た後も、依頼者様とのやりとりを通して実践の場で経験を積んで成長できます。徐々に全体を見ることの大切さやお仕事の進め方も見えてきますし、困ったときは事務局やタスカジさんの仲間も支えてくれます。初めて家事代行をする方も、ぜひ安心してタスカジさんとしての一歩を踏み出して欲しいと思います。

――ハルさんが依頼者様の心にしっかりと寄り添い、お部屋の片付けだけでなくストレスまで軽減している姿勢はとても素晴らしいと感じました。本日はありがとうございました。

MVPとコミュニティ貢献賞の2部門で受賞されたハルさん。依頼者様が片付けでつまづいている部分を解消し、心の面でも健やかに生活できる環境を整えている部分が非常に印象に残るインタビューでした。

この記事を読んで「整理収納のタスカジさんってどんなことをしてくれるの？」「私も片付けの悩みを相談したい」「整理収納の仕事に興味がある」と思われた方は、ぜひタスカジのサイトをご覧ください。

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