前編(前回記事)はこちら
2022年11月23日(祝・水)、一般社団法人シェアリングエコノミー協会の主催イベント「シェアフェス2022」が、東京・虎ノ門ヒルズフォーラムとオンラインでの同時実施にて開催されました。
「シェアフェス」のテーマは、サステナブルな働き方・副業の形や、みんなでシェアする働き方・暮らし方を学ぶこと。
タスカジからは、タスカジ代表の和田と、副業としてタスカジさん(※1)の活動をされているお二人、ともさんとゆみ先生が登壇し、副業として家事代行業を行ってきた中でのリアルな体験談や、その魅力を語ってもらいました。
(※1:タスカジさん=タスカジに登録ハウスキーパーの呼称)
そのイベントの様子を公開します(後編/全2回、前編はこちら)。
モデレーター:和田 幸子 株式会社タスカジ 代表取締役
登壇者:ともさん 料理のタスカジさん(本業はフルタイムのオフィスワーク)
登壇者:ゆみ先生 整理収納のタスカジさん(他サービス業との兼業)
※記載の内容は、イベント当日の2022年11月23日当時のものです。イベント時点から一部変更になっている情報もありますので、ご了承ください。
前編(前回記事)では、タスカジ代表の和田から、「タスカジの特徴」や「タスカジさんになるための条件」などについてお話しました。
ここからは実際に副業としてタスカジさんの活動をされているお二人に、具体的にどんなことを、どのような感じで仕事しているのかを伺っていきます。
和田:まず、最初に自己紹介をお願いします。
ともさん(以下、ともさん):私は、タスカジ名「ともさん」で活動しています。タスカジ歴は5年(※2)、料理代行のお仕事を担当していて、もう一つの仕事は外資系の企業にてフルタイムでオフィスワークを担当しています。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
ゆみ先生(以下、ゆみ先生):タスカジハウスキーパーとして「ゆみ先生」で活動しています。タスカジ歴は半年で(※2)、ハウスキーパーとしての経験はゼロからのスタートでした。分野は整理収納をメインとしながらお掃除もお受けしています。ダブルワークは葬祭業をやっていまして、お葬式のご案内・葬儀の執り行いなどのお仕事をやっています。よろしくお願いします。
※2:2022年11月現在
和田:最初にお二人がタスカジさんとして働き始めたきっかけを教えてください。
ともさん:私は、学生の時に母が亡くなりまして、実家で学生の時から家事の仕事をしていました。料理が好きですし、家事は苦ではなかったので、当時から家政婦の仕事が向いているんじゃないかなと思っていました。ただ30数年前は、家政婦の仕事というのはまだまだ富裕層向けのサービスというイメージが強く、職業としては意識していなくて、私は学校を卒業して企業に就職し、事務の仕事につきました。
私が就職した当時はバブルが崩壊した直後で、就職できたのはいいのですが、数年経つと不景気が深刻になってきまして。このまま事務の仕事を続けていてどうなんだろうと、将来に不安を覚えたのがきっかけで、一旦仕事を辞めることにしました。
そこでリフレッシュの気持ちで始めたのが、飲食店でのアルバイトだったんですね。それがとっても面白くて、数ヶ月のつもりが、気づくと1年経っていました。ただ、アルバイトなので収入が少なく、「どうしよう」と思った時に、副業という働き方を選択しました。平日は派遣で事務の仕事をしながら、夜や週末に飲食店でアルバイトをするという働き方を始めました。
その後、派遣で働いていた会社で、社員として働き始めることになった時に、一旦副業は辞めたのですが、働いて数年すると、東京に転勤することになりました。その東京での仕事というのが、今まで自分がしていた仕事とかなり内容が違いまして、私は仕事で手応えとかやりがいを感じることができずにいたんですね。
数年経ち、もう辞めようと決心をした時に、もう一度飲食関係の仕事をしたいなと思いました。それから再び副業という働き方を選択して飲食店でも働いていましたが、数年後、一般家庭向けの家事代行業があるというのを知りました。これはまさに私が昔思い描いていた家政婦の仕事だなと思ったんです。それからすぐに説明を聞きに行って登録し、仕事を始めました。これが、私が副業としてタスカジで働き始めたきっかけになります。
和田:ありがとうございます。若い時から思い描いていた仕事が、ようやく目の前に出てきたということで、夢を叶えていただいた「ともさん」でした。では、ゆみ先生、お願いします。
ゆみ先生:はい。私は12年間、保育士として働いておりまして、今年(2022年)の3月まで保育士をしていました。このまま自分が保育士として人生を終えていくか、それともここで今、本当に自分のやりたいことをやるかという選択肢を考えた時に、どうしても整理収納の仕事をやりたいと思いました。思い切って保育士の仕事を辞めた後、最初は整理収納アドバイザーとして個人で開業しようと思っていたんですが、現場の経験が少ない上に集客ノウハウも全くなく、ホームページやSNSなどの武器も何もなかったので、本当に課題が山積みでした。
そんなときに、タスカジを求人サイトで知りました。働く時間が選べること、個人事業主として働けること、現場に出る機会もいただけるということが魅力でした。家庭と両立しながらも自分の好きなことにしっかり打ち込めて、しかも社会の誰かの役に立つという、まさに自分が求めていた条件にぴったりのお仕事だったので、すぐに始めることにしました。
和田:夢だった整理収納の仕事をタスカジで実現したんですね。ありがとうございます。
では、タスカジで働く頻度とか、どれぐらいの時間、仕事の副業としてタスカジの仕事をしているのかをお伺いしたいと思います。
スキマ時間を活用したWワークのリアル
ともさん:私の場合は、平日に事務の仕事で、週末にタスカジさんの仕事をしています。仕事の準備…例えば料理のメニューを考えたり、お客様とコンタクトを取ったり、スケジュールを調整したりなど、そうした仕事は、平日の仕事の前後1時間ずつを当てています。
訪問当日は、遅刻はできませんので、1時間前に現場の最寄り駅に着くようにしており、待ち時間で当日の作業について、メニューの確認をしたり手順を確認したりする時間に充てています。
ゆみ先生:私の場合は、平日のみ稼働していて、タスカジさんを週2から週3、葬祭業を週2から週3という感じで、半々でやっています。タスカジさんの業務一件が3時間になるので、週に5~6件入れていて、半年で約80件の実績を作ることができました。いずれも自分のスキマ時間で働く時間を選んで働いています。
和田:ありがとうございます。お二人とも、他のお仕事がありながら、スキマ時間でタスカジさんとしてのお仕事をされているかと思うんですけれども、別の仕事をしながら、タスカジさんとして働く上で大変だったことや、困ったことを、こう工夫して乗り越えたんだよ、というようなことがあったら、教えてください。
サポートセンターがトラブル時の心強い味方に
ともさん:そうですね、私の場合副業としてではなくて、家事代行の仕事をしていて困ったことが一つありました。ある日、作業を終えて自宅に帰ったところ、サポートセンターから連絡がありまして。お客様から問い合わせがあって、今日の作業について詳しく聞かせてほしいということだったんですね。よくよくお伺いすると、お客様と私の間で認識の違いが生じていて、そのことで詳細が聞きたいということでした。その時は、私はサポートセンターの方と2~3回やり取りをして事情を説明して、サポートセンターの方でお客様の方にご対応をいただいて、スムーズに解決していただきました。
いろんなお客様がいらっしゃいますので、そういった認識の違いですとか、コミュニケーションがうまく取れていなかったという問題は起こるわけですよね。それを当事者同士で解決しようとすると、ちょっと難しい時もあります。そこで、サポートセンターという第三者の立場で、冷静に対応いただけたっていう、そうしたフォローですとかサポートというのは、非常に心強く感じています。
あと、副業としてやっぱり大変なのは、確定申告と納税ですね。私がこの仕事を始めた時は複数の収入源がありました。源泉徴収が取れるところであれば比較的計算は簡単だと思いますが、そうでない場合には自分で計算しなくてはいけない。私は収入源が複数ありましたので、計算が大変でした。なので、もし初めて確定申告をされるという方であれば、納税をしなければならないということも念頭に置いて収入源を増やしすぎないということもお勧めします。
和田:なるほど。いろいろノウハウが入っていて面白いお話でした。確かにプラットフォームが提供するサポートセンターというのも、トラブルになった時に心強い味方になるし、副業として始める時にそういう意味だと気軽に始めやすいサービスのうちの一つなのかなと思います。ゆみ先生はいかがですか。
何歳でも、好奇心と危機感を持って行動しながら覚えていくと、どんなことでも身につく
ゆみ先生:大変だったのは、例えば今日は家事代行業、今日はお葬式、のような感じで、スケジュールを自分でしっかり管理する必要があることです。初めは慣れなかったのですが、徐々にそれも生活の一部になってきています。葬祭業は専門用語が多く知識が必要な業務なので、仕事が飛び飛びになってしまうと、なかなか覚えるのに苦労する部分があったりもしました。Wワークをすることで中途半端にならないように、移動時間に復習をしたり、行動しながら覚えるようにしています。
やってみてわかったのは、人は何でも好奇心と危機感を持って行動しながら覚えていくと、どんなことでも何歳でも身につくっていうことですね。30代の転職で大変だったんですけど、まだまだ自分はこれからだと自分に言い聞かせながらやっています。
子供がいるので、病気とか急なことでどうしても仕事を休まなければならない時というのが出てくるんですけれども、タスカジさんの仕事では、キャンセルの他に日程変更でも対応できるので、お客様にそういったシステムのことは事前にお伝えして、できるだけリスク回避をするようにしています。
和田:なるほど。当日、突然言われるとびっくりしますが、事前にそういうリスクがあるけどそういう場合は日程変更で調整可能と、事前にお伝えしておくと、安心してお互いに話ができるということですね。あと、好奇心と危機感を持っていれば、いつでも誰でも成長して新しいことを覚えていけるというのも、力強いメッセージだなと思いました。
では逆に、別の仕事をしながらタスカジさんとして働くことで、楽しいと感じることや、メリット・学びになっていることは、どんなことがありましたか。
Wワークだからこそ、実感するやりがい
ともさん:そうですね、メリットは非常にあると思っています。まずやっぱり、複数収入源があるということは、一つなくなったとしても、いきなり収入がゼロになるわけではないという安心感がありますね。
あと、私は家事代行業というのは非常にメリットが多いと感じています。普段平日は私は在宅で仕事をしていて、自分の街から出ることがなかなかないんですね。それが週末にお客様のご自宅にお伺いするために普段自分が行くことのない駅に降り立つというのは、大変リフレッシュにもなりますし、運動不足の解消にもなります。
家事代行業は個人で働きますので、仕事に対する責任感や自覚は強く育ちますし、休めませんので健康管理には非常に気を使うようになります。あと個人で働く、そして得る収入は、とても自信につながります。
嬉しいのは、やはりお客様からいただく純粋な「ありがとう」という言葉ですね。事務の仕事で上司や同僚の方から「ありがとう」という言葉をもらうのも嬉しいですが、やはり直接お金を支払っていただくお客様から「ありがとう」「助かりました」という純粋なお言葉をいただくと、それは本当に嬉しいし、役に立てているんだな、という実感を持てます。
料理の仕事について、私は楽しいというよりは、仕事をしている時って集中して没頭しているわけですね。とても充足感がありまして。やり続けたい・仕事をし続けたい、と思える仕事に出会えたのは、非常にラッキーだなと思っています。
実は私、会社で社員として働いていた時はかなり待遇が良かったのですが、現在の、収入は半分に減ってしまいました。それでもやはり自分の人生を歩んでいるという実感があるので、やめたことを後悔したこともないですし、元に戻りたいとも思ってないですね。そう思える働き方や仕事に出会えたということは、非常に幸せなことだと思っています。
和田:なるほど。料理のお仕事はもう天職だと感じられるという、そういう毎日を送れてるのは素敵ですね。
ともさん:幸せですよね。大変なことも多いですが、やっぱり「生きてる」「何かの役に立っている」と実感できるのは、非常に大切かなと私は思います。
和田:直接その場で感謝の言葉をいただくというのも、充実感につながりますし、またレビューの仕組みがあるので、そこからもお客さんの気持ちが伝わってくると。あと、3時間を没頭した時間にして、多分そこでものすごくクリエイティビティのようなものを、めちゃくちゃ発揮されてるんだろうなと思いました。1つのことだけでなく、多面的にそのメリットなどを楽しんでいらっしゃるんだなと感じました。ゆみ先生はいかがですか?
ゆみ先生:私はWワークをする以前は、保育士1本のお仕事でした。どんな仕事も、失敗したりうまくいかないことがあっても、乗り越えてやがて成果につながっていくことはあると思うんですけど、その失敗の渦中にいる時って、もう私の場合は「自分ってダメだ」とか「この仕事向いてないんじゃないか」とか、すごくネガティブになって落ち込んで、全否定して追い詰めてしまうことをしがちだったんですね。
和田:そういうことありますよね。
ゆみ先生:そうなんです。これって私だけではなくて、真面目な人や完璧を求める人ほど陥りやすいのかもしれないです。でもWワークするようになってから、社会の中での自分というアイデンティティが、その仕事の分だけあるっていうことになるんですよね。
すると、うまくいかないことがあっても、自分の中の一部が今回失敗してうまくいかなかっただけで、自分の他の部分のことまでは否定しなくて済む、ということがすごく大きなメリットでした。どちらか一つだけのお仕事だったら長く仕事を続けていけないかもしれない、そのくらい私にはWワークがちょうど良かったので、周りの方にもWワークいいよって伝えています。
和田:なるほど。アイデンティティの部分まで踏み込んだお話をしていただいて、ありがとうございます。まだありますか?
ゆみ先生:はい。タスカジさんの楽しさややりがいは、自分の身近な家事が仕事になって、自分の働きかけによってお客様から直接感謝されたり、また整理収納のアドバイスをすることで、お客様が片付けをするのがだんだん上手になって成長されていく部分を見られることです。依頼者様のご家庭の家事パートナーとしてサポートできるというこのお仕事が、すごく嬉しく、やりがいを感じます。
和田:ありがとうございます。いろいろお話を伺いましたけれども、皆さんいかがだったでしょうか。副業として他の仕事をしてみることの良さですとか、あとは家事を仕事にしていくことの素晴らしさとか、お二人のお話から、さまざま感じていただけることがあったのではと思います。
最後に、よろしければお二人から、これから副業をしながら家事代行の仕事に興味を持ってるような方や、これからそういう仕事をしたいと考えている方に対して、アドバイスやメッセージを一言いただければと思います。
最初の一歩を乗り越えたら、あとは挑戦するのみ
ともさん:冒頭(前編)に代表の和田さんからもご説明があったように、タスカジでは1回3時間単位からスケジュールを組めます。1週間に1日、午前中だけとか、週に3回午前中と午後とか、自分の都合の良い時にスケジュールを空けることができるわけですよね。
もちろん全てスケジュールが埋まるかというとそうとは限りませんが、もしはじめて副業を考えられている方であれば、非常に取り組みやすいシステムだと思っていますので、とてもお勧めしたいと思います。
あと、最初の第一歩が非常に勇気がいって…。私も、初日はお客様のお宅にお伺いするまでは本当に怖くて。「逃げたい」「やめたい」と思っていましたが…。
和田:そういうことがあったんですね。
ともさん:本当に怖かったです。ただ、それを乗り越えてしまえば、もうあとは挑戦するのみです。辛いこともありますが楽しいことも多いと思うので、ご興味がある方は、ぜひその一歩を踏み出していただきたいなと思います。
ゆみ先生:私のように家事代行の経験がない方でも、タスカジなら先輩のタスカジさんが基礎から教えてくれる「タスカジゼミ」という講習会があって、安心して始められます。
また、タスカジさんが日頃の悩みを仲間同士で相談できるような「タスカジトーク」というコミュニティもあったり、タスカジさん同士がセッションやスキルアップの情報交換ができる「タスカジさんフェス」もあるので、楽しくお仕事ができると思います。自分自身の家事スキルも、とてもパワーアップするのでおすすめです。
和田:ありがとうございます。興味持ってくださっている方がいらしたら、ぜひ応募いただきたいなと思います。もし、自分でもできるかな…とか、ちょっと興味あるなーと思った方は、オンライン面談という仕組みがあるので、そこに気軽にお申し込みいただいて、話を聞いていただけたらなと思います。
和田:お二人とも、素晴らしい、楽しいお話をたくさんお伺いできて私も楽しかったです。どうもありがとうございました。
株式会社タスカジの代表取締役。国内大手ITベンダーに入社。その後MBA(経営学修士)を取得。2013年に共働きの家庭における新しいライフスタイルを実現するため、起業。2014年に家事代行マッチングサービス「タスカジ」を開始し、2017年に日経BP社 日経DUAL「家事代行サービス企業ランキング」1位、「日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018働き方改革サポート賞」を獲得。
多くの人が自分らしく生きる時間を増やせる社会を実現するため、一般家庭でも気軽に質の高い家事代行を利用できる仕組みを作るという想いで「タスカジ」を立ち上げた。