■クローゼット収納の理想と現実
入居前には大容量に見えていたはずのクローゼット収納も、いざ衣類を入れてみると意外に少ししか入らない……あるあるです。戸惑いますよね。
そしていつのまにかオフシーズンもの(2軍)、冠婚葬祭もの(3軍)、しばらく着ていないもの(4軍)がいい位置を占め、よく着るもの(1軍の衣類)はクローゼット収納の手前に山積みになっていたりします。いちばんよく使うものなのに置き場所がなくなってしまうのです。
■「見た目スッキリ」にこだわると失敗する
こうした状況で「片づければ何も見えなくなる=見た目のスッキリ」を目指すと失敗します。すべての衣類を毎回ちゃんと畳んで定位置に戻すのは(言うは楽でも)実際とてもハードルが高い。1〜4軍がひしめき合うきちきちの空間ではなおさらです。
こだわるべきは「できるだけストレスなく普段の出し入れができる=しくみのスッキリ」。がんばらなくても片づく空間づくりを目指しましょう。そういうクローゼット収納は家族も片づけに巻き込みやすい。快適に使えるうえに家事のシェアも進んで一石二鳥なのです。
■がんばらなくても片付くクローゼット収納改善の3大ポイントはコレ!
1.配置レベル:衣類の一等地を見極める
収納が苦手な人ほど、衣類の管理を何重にも難しくしています。まずは場所。洗濯後にこんな現象が見られませんか……?
・戻す場所がバラバラで、把握してる人しか戻せない
・寝ている子どもを起こしたくなくて戻せない
・戻さず仮の置き場所から直接取って着替える方が楽
これらは戻す動線に無理があって起こること。一軍衣類の定位置は自分と家族の今の生活に合わせてもっともっと柔軟に作り替えられるはずです。
・たたむ場所からいちばん近い押入れを一軍衣類のクローゼットにする
・既存のクローゼット収納の手前に一軍衣類の収納環境を増設する
・予備の部屋をクローゼットルームにして、すべての衣類を一括で収納する
確かに配置の入れ替えにはそれなりの労力が伴います。一方、生活動線を無視して作ったしくみはもろく、キープするエネルギーが後々まで必要になります。あなたはどちらを望みますか……?
2.環境レベル:出し入れのストレスを撃退!
人は本当に正直です。出し入れの動作に少しでも不便を感じると、その作業はおっくうになり収納ルールが守られなくなります。ダメなのはあなたではなく、動作にストレスのかかる収納環境です。
・合わないサイズの引出し収納のを重ねたせいで天井がたわんで開け閉めしにくい
・部屋の扉を開け、クローゼットの扉を開け、引出しを開けないと戻せない
開け閉めがスムーズで、少ないステップでしまえる環境に変えましょう。こんな方法もひとつです。
・扉つきのクローゼットなら、中はオープン棚とカゴにして放り込むだけにする
・引出し収納はそのままにして、クローゼットの扉を外してしまう
3.道具レベル:まずはハンガーから見直そう
カラフルなプラスチックハンガー、クリーニング店の針金ハンガー、立派な木製ハンガー……など、いろんな種類がごちゃ混ぜになっているクローゼットをよく見かけます。
見た目がスッキリしにくいのはもちろん、そういうクローゼットは「何もかかっていないハンガーに気づきにくい」という傾向があります。あなたのクローゼットはどうでしょうか。まず空のハンガーがあれば、すべて抜いてみましょう。それだけで意外にスペースに余裕ができるものです。
プラ製・木製ハンガーは厚みがあるものが多く、本数が多いとそれだけでスペースを取ります。針金製のものは厚みこそないけれど、ハンガーどうしがからまりやすい、重みで変形しやすい、衣類がずり落ちやすいなどのデメリットが多く普段使いには向いていません。
ハンガーを、機能的な省スペースのものに思いきって入れ替えてみると、衣類の量が同じでも使い勝手がぐんと良くなります。
おわりに
いかがでしたでしょうか?捨てる捨てないに囚われ過ぎず、まずは簡単なところから一歩踏み出してみてください。ひとりでは難しい少々大掛かりな土台部分……生活動線を配慮してどのクローゼットをどう使ったらいいのか、といった課題はプロを頼るのもひとつ。タスカジにはたくさんの収納のプロフェッショナルがいますよ。
ライター:sea
整理収納を専門的に提供するカリスマ家政婦。
その人気ぶりから“今もっとも予約が取れない家政婦”としても知られる。20年以上にわたって個人宅の片づけや掃除を行い、これまでに片づけた家は6000軒以上。困りごとを抱えた多くの人々の悩みを解決してきた実績をもつ。テレビ番組に片づけのプロとしての出演多数。そのほか、コラム連載やメディア出演も多数経験。著書に、『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。』(ダイヤモンド社)、『タスカジseaさんの「リセット5分」の収納術』(主婦と生活社)。