第1回タスカジ円卓会議のレポートはこちら
コロナ禍以降も規模が拡大し登録者数9万人規模となっている家事代行サービス「タスカジ」では、今後、個人間取引のトラブルを未然に防ぎ、より安心安全な環境としてさらに発展するためには、運営事業者と依頼者とサービスを提供する側(タスカジさん)の3者によるフラットなコミュニケーションの場が必要不可欠だと考えています。
そこで、「タスカジ円卓会議」第2回となる今回は、「レビューの書き方・受け止め方」と「事前コミュニケーション」の2つをテーマに、依頼者・タスカジさん・タスカジ社の3者によるオープンな会議での「安心して気持ちよく取引するためのルール作り」に挑戦! 今日の話し合いの内容をもとに、実際に新たな行動指針の中に盛り込んでいく予定とのことです。
では、早速、業界初となる四位一体型のルール作り会議の模様をお伝えしていきましょう。
参加メンバーはこちら
〈タスカジで家事代行を依頼している4名の依頼者さん〉
Tさん(料理と掃除、家事全般をほぼ毎週依頼)
Kさん(3年前から掃除を定期で依頼)
Aさん(掃除と料理を多い時で週3~4回依頼)
Sさん(掃除と整理収納を4年前から依頼)
〈タスカジでハウスキーパーとして活動する4名の現役タスカジさん〉
Nさん(つくりおき料理専門)
Mさん(掃除専門)
Hさん(掃除専門)
Yさん(整理収納専門)
議題その1 レビューの書き方や受け止め方について
__レビューはタスカジさんへの評価でありフィードバックでもあります。よかった点や改善点、今後のアドバイスを記入いただき、品質向上のために使うものであり、初めて依頼する人はタスカジさんを選ぶ際の大事な手がかりにもなります。ただ、改善点や不満足に感じた点を伝える時には相手に配慮した書き方が大切になりますが、依頼者(書く側)はどんなことに注意していますか?
依頼者Tさん:私は今まで不満足だった点をレビューで書いたことがありません。過去に「これしか終わらなかったのか…これなら自分でやったかも」というときもありましたが、それをそのままレビューに書くことで、どれくらいその方への影響力があるか不安です。そういったレビューを書くのは自分も辛くて。みなさんはどうですか??
依頼者Kさん:低いレビュー点数を付けられる方は、おそらく相当納得がいかない気持ちがあってのことだと思います。レビューは48時間以内に書かないと自動レビューになってしまうので、その時間内だと気持ちも収まらないのではないでしょうか。確かに人の欠点を記載するのは気が引けますが、これから選ぼうという人にとっては課題点や不満足だった点を記載したレビューもひとつの参考になる情報ですし、今後レビュー入力欄に非公開でタスカジさんへ個別メッセージを送れる欄と公開レビューの入力欄の2つがあって、使い分けができるようになるといいかもしれませんね。
依頼者Tさん:タスカジさんは私にとって仲間なので、私はレビュー=応援メッセージと考えています。自分を主語にして「私はこうしてもらえるとよかったです」など相手のことを思って書くよう心掛けたり、細かな変えてほしい点は2回目以降、直接伝えるようにしています。
またもし改善点をレビューで伝えるときには、良かった点との間に挟んでサンドイッチにして伝えるとよいのではと思います。
__では、タスカジさんとしてはレビューをどのように受け止めていますか?
タスカジさんMさん:どんなレビューでも書いてもらえるのは嬉しいです。留守宅での作業でレビューもメッセージもないと寂しい気持ちになるので。レビューが満点ではなかった場合やレビューの中で課題点の記載があった場合には、タスカジさん側は依頼者さんの考えを「ここはこういう捉え方をされたんだ」と素直に受け止めなければならないと思います。ただし、依頼者とタスカジさんが「お客様とハウスキーパー」という上下関係ではなく、対等な「家事を分担してお願いできるパートナー」という思いが根底にあるかで、依頼者さんのレビューの書き方はすごく変わると思います。
タスカジさんNさん:レビューで★4を続けてもらったときは落ち込みましたが、お客様のニーズと自分の能力をどう合わせるかがポイントだと、前向きに考えるようにしました。
タスカジさんYさん:私は、すぐに書かれるレビューよりも、1日2日経って書かれたレビューの方がリアルだなと感じます。「整理収納をしてもらって家族が使いやすくなった」とか。ただ、自分の中で作業がダメだったときは自分が一番よくわかっているので、そんなときに★5(最高評価)をいただいたときにも自分の中で反省をしています。
タスカジさんHさん:改善点や不満だったポイントが記載されたレビューは改善の余地も具体的にわかるし、細かいことまで見てくれているという証拠。期待に沿えなくてがっかりはしますが、そういう経験が次に活かされると思います。また、プロフィール欄(依頼前に見ることができる欄)に「内容によっては時間内にすべてできかねる場合がある」と記載するなど、自分の今の力量を少しずつわかりやすく伝えておくのがいいのではないでしょうか。
タスカジさんMさん:ただ、レビューは依頼者さん個人個人の考えが反映されるものですが、タスカジさんに改善点を伝えたい場合にも、たとえば「気が利かない」「ぼーっとしている」など人格否定にも受け取れる表現は避けていただけると伝わりやすいと思います。事実を伝えたい気持ちや、不愉快なことは、呼吸を整えてレビューを受け取る側への配慮も入れたらいいかもしれませんね。あるいはメッセージで直接本人に伝える方がタスカジさんに響くかもしれません。
__では、行動規範として心構えや禁止行為をまとめたいのですが、いかがでしょうか。
依頼者Kさん:書く側の意識や能力で差が出てしまうので、3~5項目くらいのQ&Aで答えるなど、書き込みやすい仕組みがあるといいかもしれませんね。
タスカジさんMさん:依頼者さんはみなさん忙しい方が多いので私へのレビューは「ありがとうございました」だけ。1行でもいいですとお伝えしていますし、受け取る側は「それだけでも書いていただけてありがたい」と思うことも大事かと。
タスカジさんNさん:レビューを書くことが心理的に面倒と感じる人もいるので、私は正直レビューを書かれないことをあまり気にしていません。でも、タスカジさんの中でも、頂ける報酬額がレビューによってあがる伸び盛りの人は、より気にしているかもしれませんね。
ただ、私もかつて「品数が少ない」とレビューに書かれたことがありましたが、実際は現場での注文やおしゃべりの対応も多くて。そういう場合は「すべての注文をお受けできない場合がある」とプロフィールに反映し、依頼実施ごとに自分の力量を把握するようにしたことで、良い点が記載されたレビューになっていきました。
__シェアリングエコノミーという個人同士で取引を行う中では、良い点が記載されたレビューだけでなく、課題点や不満足だったポイントが記載されたレビューも率直に書くことが安心安全へと繋がります。他の人のためにも勇気を出して課題点もレビューに記載することが必要かと思いますがいかがですか?タスカジさんは、そのレビューをどう受け止めるか、という点についてご意見ありますでしょうか?
タスカジさんMさん:いちパートナーとして捉えた上で、改善すべき点を感情的にならずにビジネスライクに書くと、中立的な立場で見る人に心地よく伝わるのではないかと思います。
依頼者Aさん:次に依頼することを考えるとなかなか伝えづらいですが、教育という点や自分と同じ思いを他の人がしてしまったらと思うと必要だと思うので、誹謗中傷にならないよう改善点を書きやすい雰囲気ができればと思います。
タスカジさんMさん:改善点などの受け止め方については、レビュー以外にも事務局から匿名でのフィードバックを受けるという仕組みは既にありますが、記名でも匿名でも、改善点を素直に受け止められないのであれば、少し厳しい言い方かもしれませんが、この仕事は向いていないのではないでしょうか。
議題その2 事前のコミュニケーションはどこまですべきか?
__タスカジさんと依頼者が、事前に何をどこまで伝えるか。積極的にコミュニケーションを取ることは、希望に叶う作業にしてもらうため、また当日タスカジさんがパフォーマンスをあげる上でもとても大事な準備事項です。事前のやり取りの内容や回数について、皆さんはどのような工夫をされていますか?
依頼者Tさん:何が希望かをタスカジさんに明確に伝えるのが、依頼者のつとめだと考えています。特に、料理は味や好みが人によって異なるので、事前に味の好みを伝えたり、全部食材を使い切ってくださいなどと自分の希望を明確にお願いしています。
依頼者Sさん:私も用意した材料とお願いごとをきっちり伝えるよう意識しています。あとは、そのタスカジさんの得意料理など過去の実績が分かると、依頼するの方もベストパフォーマンス内容が把握しやすくていいと思います。
タスカジさんNさん:私は行ってみないと設備も必要な量も異なるので、事前コミュニケーションはかなり少ない方だと思います。最低限の行き方やリクエスト程度。ただし、お宅に行ってから聞き取り時間を取って、アレルギーや好みの味、量などをメモ帳にびっしりと聞き取りをメモしてから始めています。聞き洩らしがないように、事務局からタスカジさんへヒアリングリストを配布してもいいかもしれませんね。
タスカジさんMさん:お掃除の場合、プロフィールページに洗剤など最低限準備してほしいものを提案しています。さらにご要望が「窓」など漠然としている場合は、レールまでなら45分、ガラスだけなら30分など時間のご案内も。
タスカジさんは下見もなく、初見でミッションを完了させねばならないので、依頼者さんと双方でイメージするゴールの食い違いがないよう、「当日現場を確認させていただいた上で、ご要望箇所が完璧に完了できるか判断をさせていただきます」、とあらかじめ対策をしておくことも重要だと思います。また、スポット依頼の初回は、説明などで通常より時間がかかるものと想定し少しだけ控えめにご案内することや、特に初めてタスカジを利用する方にはできるだけ細かく事前にコミュニケーションを取ると安心です。
タスカジさんYさん:整理収納で事前にまずお聞きすることは、①家の間取り②家族構成③誰がどんなことで困っているか④片付けたい場所の4つです。そのお返事さえいただけたら、ゴミ袋、ウエットティッシュ、雑巾を用意いただくだけ。あとは当日拝見してから、「3時間でできる内容をご相談しながら一緒に作業させてくださいね」とお伝えします。私は依頼者さんとお話しながら臨機応変に一緒に作業を進めるやり方なので、プロフィールにも一緒に作業することを記載しています。
依頼者Aさん:定期で料理を依頼していますが、なるべく準備した材料やリクエストなど多く伝えるようにして、来た時に相談する時間を減らすようにしています。ただ、揚げ物など時間がかかるものの場合は通常よりも品数が少なくなることなどは、頼んでみないとわからなかったです。依頼者もサービスを単純に受けるというよりは、主体的に「発注者」という意思を持ってオーダーをする意識を持つと、よりスムーズなのかなと思いました。
依頼者Tさん:私も最初は希望する作業や使用する道具をリストにしてタスカジさんに渡していましたが、定期だと3回目ぐらいからは好みや作業を覚えていただいているので、リスト作成もしなくなりました。定期的に依頼して自分にとっても長く付き合える人を選ぶと、結果楽になり時短につながります。タスカジさんに言われた洗剤や調味料が使い切らず余ってしまうことはよくあることだと思いますが、定期契約だとそれらも避けられますよ。
__ありがとうございます。では最後に禁止事項などのルールを考えたいのですが、いかがでしょうか。
タスカジさんMさん:事前コミュニケーションではありませんが、家事代行では、お子さんの教育へのアドバイスなど、その人の家庭に立ち入った意見は禁止すべき事項だと思います。
タスカジさんHさん:私は1回目「掃除箇所を聞く」、2回目「必要な道具をお知らせする」、3回目「前日に日時をリマインド」、と3回やりとりさせていただいています。2回めの道具のご案内は「長文で恐縮ですが、」と前置きを入れた上で準備事項をご案内しています。メッセージの代わりにプロフィールに書くことも検討しましたが、事前のやりとりがよかったですと高評価をいただくこともあるので、今はこのやり方にしています。
__ありがとうございました。それでは最後に、タスカジ社 和田社長よりメッセージを。
本日も深い議論ができて、大変勉強になりましたし、まだまだ課題もあると感じています。日本でシェアリングエコノミーサービスが普及して数年ですが、実はかつてあった、ご近所同士の助け合いがインターネットに置き換わったものなのです。ただし、インターネットは知らない人とも接点がある分、気を付けるべき点も多いと感じています。
そのためには、実際に現場で取引をしているユーザーさんも一緒になって、タスカジというプラットフォームでのサービスを守っていただく自治会のようなルール作りが安心安全の近道だと考えています。
今後、タスカジがさらに発展するためにはユーザー参加の会や一緒にサービスを作っていくことが必須であり、今日はその第一歩です。これまでサービスを続けて来られたのも、ユーザーの皆さんがタスカジというプラットフォームを共助の精神で丁寧にサポートしてくださったからだと考えています。ぜひ引き続きご協力賜われると嬉しいです。
WRITTEN BY 加藤 朋美(かとう ともみ)
フリーランスのライター・エディター。出版社でファッション誌の編集を経て、現在はフリーランスとして雑誌やWEBサイトで執筆、ディレクションを手掛ける。湾岸エリア在住の一児の母。ライフスタイルから幼児教育まで、ママ目線を生かした視点で女性に役立つ情報をお届け。2015年に保育士資格取得。
1時間1,500円からの家事代行マッチングサービス「タスカジ」運営