手前味噌ではありますが……と始まるこの言葉。手前味噌には自家製や自前などの意味のほか、ちょっとした自慢話をするときの前置きにも使われます。味噌を作ってみると、その気持ちもわかるほどおいしくできますよ!
■市販の味噌と手作り味噌の違い
味噌の値段ってピンキリだと思いませんか?一般に安く売られている味噌は原材料の大豆が遺伝子組み換えのもの、あるいは脱脂加工大豆(醤油を作る際に出る搾りかす)が使用され、人為的に加熱をすることで短期間で大量生産を可能にしています。
また、通常生きている味噌であれば発酵が進みますが、長期保存できるようにと発酵を止めるためのアルコールなどが添加されます。残念ですがこれでは味噌本来の持つ栄養や風味も損ねてしまいます。
自家製であれば、まず原料から選ぶことができます。余計なものを加える必要もありません。味噌づくりでミソ(!)となるのは時間をかけることです。自宅であればそのまま半年ほど置いておけばいいだけですので手軽です。
そして寒仕込みの味噌が一番おいしくなるのには理由があります。それは発酵が夏に比べてゆっくりであるため、味に深みが出るからです。
■味噌に必要な材料はシンプル!
味噌づくりなんて大変そうと思うかもしれませんが、ゆでてつぶして混ぜ合わせるだけ、工程はとてもシンプルです。材料も大豆・麹・塩と種味噌として必要な味噌だけです。作りやすい分量と作り方は次のとおりです。
大豆…1キロ(水で戻すと2倍ほどの大きさになります)
麹…1キロ
塩…400g
種味噌…お好みの味噌を250g
1) 洗った大豆を多めの水で一晩ひたす
2) 新しい水と大豆をやわらかめにゆでる
3) 麹と塩を混ぜ合わせておく
4) ゆで汁を500gほど取っておく
5) ゆでた大豆をつぶし、塩と麹と混ぜ合わせ、耳たぶほどの固さにする
(水分が足りないようならゆで汁を少しずつ足す)
6) おにぎり大サイズにまるめて容器に詰めていき、最後に空気を抜くように上からラップをして重しをのせ、表面に小さじ1程度の塩をふり、冷暗所で保存する
7) 梅雨の時期に天地返しをする
■作業のポイント1 大豆をつぶす
大豆をつぶす作業ですが、いろんなやり方があります。
すり鉢+綿棒
ボウル+マッシャー
ビニール袋+手のひら
フードプロセッサー
もしもフードプロセッサーがあるようでしたら、それが一番手軽です。お子さまがいらっしゃるようでしたら、大豆をつぶす作業、そして麹と塩を混ぜ合わせる作業を一緒にすると粘土感覚でたのしめます。
■作業のポイント2 天地返しについて
梅雨の一手間が天地返しと呼ばれる作業です。これは味噌を取り出し、再度戻すという作業になりますが、しゃもじなどで混ぜ合わせるだけでも十分です。混ぜることによって熟成を均等にする効果があります。
が、実はこの作業も省略できます。わたしもうっかり忘れてしまった年がありますが、味にさほど変化はなかったように思います。
■容器はなにがいい?
味噌を仕込むための容器ですが、昔ながらの亀壺や桶でもいいですし、100均のタッパーなどでもだいじょうぶです。少量であれば、ビニールで作る方もいるほどです。
ちなみにわたしは野田琺瑯の容器を愛用しています。見た目もシンプルなのでインテリアとして邪魔になりません。もしも例年作るようでしたら、自分のお気に入りの容器を手に入れてもいいかもしれません。
おわりに
味噌づくりいかがだったでしょうか?自家製の味噌を翌年の種味噌にすることで、自宅の味が脈々と引き継がれていきます。我が家の味噌もかれこれ10年以上続く味です。手前味噌で作る豚汁は最高です!おいしすぎて1年も味噌がもたないことが悩みの種です。
ライター:aki