毎日の食卓から、暮らしの中まで、日常生活の中でもたくさんの場面で使われている『酢』。特に女性は特に意識的に酢を摂っている方が多いような気もします。
『酢』とひとくちに言っても、その種類は多岐にわたり、いったい何が違うの?どう使い分ければいいの?と困ってしまうコトも多いのでは。今回は、酢の原材料から作り方、そして料理別の使い方やそれぞれの特徴まで、酢にまつわるあれこれをたっぷりお届けします。これを読んだらきっと、まだ出会ったコトのない『酢』を求めにお出かけしたくなるかもしれませんね。
さぁ、『酢』のお勉強のはじまり、はじまり。
『酢』の原材料とは?
酢は酢酸を主成分とする調味料で、日本では米を原料とする米酢が主流です。酢の種類は原料別にたくさんあり、穀物酢、米酢、黒酢、りんご酢など、その数は数百種に及ぶと言われ、それぞれに味や香りも異なります。
たとえば、すっきりとした酸味が特徴の穀物酢、まろやかな酸味の米酢、フルーティな酸味のりんご酢、コクのある酸味の黒酢など、原料や製造方法の違いが各お酢の味や香り といった特徴となって現れます。
日本を離れれば、ワインビネガーやモルトビネガー、バルサミコ酢など世界中で親しまれています。
『酢』の原材料は1つです
酢の種類は原材料別にたくさんありますが、米酢、黒酢は「米」、りんご酢は「りんご果汁」というようにシンプルです。しかし、中には「アルコール」や「酒粕」などが含まれている酢もあります。
それでは、とある酢の原材料を見てみましょう。
【醸造酢】
名称 米酢
原材料名 米
【醸造酢】
名称 穀物酢
原材料名 穀類(小麦、米、コーン)、アルコール、酒かす
この違いは何でしょうか。
原材料から『酢』ができるまで
その前に、「米」や「りんご果汁」単体からどのようにして酢が作られるか気になりませんか?
まず、米を蒸して、「米こうじ(酵素)」と「水」を加えます。すると、酵素の働きで米のお酒の状態にします。そこへ「種酢」と呼ばれる酢の一部を混ぜ合わせ加温し、発酵槽に入れると、「種酢」の中の酢酸菌の働きにより、おおよそ2週間で食酢ができあがります。
しかしこの状態の酢は、酢酸特有の刺激臭が強く 使用できません。そのため、おおよそ1〜2ヶ月間熟成し、香味を円熟させて、 まろやかな味に仕上げるのです。
ここで使われた「米こうじ」が原材料に表示されていないのは、製造中に入れる添加物でも、製造過程で除去されたり、分解されて製品には残らない場合、あるいはごく微量だけ残ったとしても、安全性や機能的には全く影響しない場合は、表示しなくていいというルールがあります。そのため、お酒の状態となってしまった米こうじは原材料に表示されていないのです。
【アルコール】
酢を作る過程の中で、お酒の状態になりますが、米や穀物だけでなく、さらにアルコールも原材料に入れると、 透明感のある酸味になって料理に合わせやすくなります。
また「醸造アルコール」から酢を作ると、あらかじめ作られたアルコールと主成分の原料で作るため、大量生産ができます。安上がりの上、ミネラルの少ないすっきりした味になるので、 酢の原材料に、醸造用アルコールが使われることが多くなっています。
このような理由から「アルコール」を加えています。
【酒粕】
「醸造アルコール」を含む酢はミネラルが少ないですが、原料にアルコールを使っていても、「酒粕」を使っていたら、 安上がりなのに、ミネラルが多く含まれます。
代表的な『酢』の種類〜6選〜
数百種に及ぶ酢。
今回はご家庭でも馴染みのある酢、飲食店やスーパーで見かける酢をピックアップしてご紹介いたします。
【米酢】
古くから稲作文化のある日本では伝統的な酢ですね。
米を主原料とした酢です。「純米酢」は米以外の原材料がない酢。
【黒酢】
米酢を寝かせて熟成させた酢です。
主に玄米を主原料に作られています。また、麦を使用している黒酢もあります。
他と違って色が黒いのは、発酵・熟成によって変化したためです。
黒酢は他の酢に比べてクエン酸、アミノ酸の含有量が多く、抗酸化力の高いポリフェノールを含んでいるのが特徴です。
【穀物酢】
米だけでなく、麦やとうもろこしが原料として使われています。
また、発酵には酒粕などが使われています。
家庭の常備酢として一番ポピュラーな酢。
【りんご酢】
りんご果汁を使った酢でりんごの香りがするフルーティな酢です。
りんご酢は原料に穀物が加えられていないのでアミノ酸は含まれません。しかし、カリウムを豊富に含んでいるので、高血圧予防など多くの健康効果があります。
【バルサミコ酢】
ぶどう果汁からつくり、樽に詰め数年かけて発酵・熟成させた酢です。バルサミコ酢の特徴は料理の仕上げに数滴たらすだけで、深い味わいが得られること。
【ワインビネガー】
ワインと同じでぶどう果汁を発酵・熟成させて作ります。
ワインをさらに酢酸発酵させるとお酢となるのです。
いろいろな『酢』の賢い使い方
【米酢】
お米のまろやかな酸味が特徴のため、日本料理とは相性抜群!
砂糖と塩を加えてすし酢としてお寿司に最適です。
酢と醤油を同量混ぜると二杯酢、酢と砂糖と醤油が同量だと三杯酢になります。また、酢に醤油、出汁、みりん、を加えればポン酢になるので酢の物にもピッタリです。
アレンジの幅が広いのは嬉しいですね。
【黒酢】
コクがあり、味はまろやかでさまざまな料理に使えます。
蜂蜜を加え炭酸で割ってヘルシードリンクに。
黒酢を飲用する際は、一日大さじ1、2杯を目安に、水や果汁で割って飲みます。ただし、胃腸の弱い人は空腹時を避けましょう。
【穀物酢】
どんな料理にも使いやすい酢ですが、サッパリした味なので、煮物料理に最適です。
また、白身魚や野菜料理に使うと、穀物酢は透明なので素材の色を活かすことが出来ます。
【りんご酢】
リンゴ酢はサッパリとしたリンゴ風味なので、ドレッシングやドリンクとしても使いやすいです。
【バルサミコ酢】
サラダの仕上げにオリーブオイルと合わせてサラダの仕上げにバルサミコ酢を数滴たらすのも良いです。
また、肉料理、魚料理の隠し味これが最も一般的な使用法かもしれませんが、肉料理、魚料理の仕上げに数滴たらすことでコクが生まれます。
【ワインビネガー】
原料のワインによりワインビネガーにも白と赤があります。
白ワインビネガーは渋みが少なくサッパリしているのでドレッシング用のお酢に最適 。赤ワインビネガーはワインと同様に使えるので、肉の煮込み料理などの隠し味にどうぞ 。
中国からやってきた『酢』。世界で愛される様々な『酢』
日本料理と相性抜群な酢ですが、日本発祥のものではなく、4〜5世紀ごろ中国からお酒を造る技術とともに米酢の醸造技術が伝えられ、和泉の国(今の大阪府の南部)で造られるようになったのがはじまりとされています。
酸味とさっぱりした口当たりの酢は暑い地域で好まれるのか、地域別の食酢の購入量は、近畿、四国、九州で多く、北海道、関東、沖縄で少ない結果となっています。
りんご酢はりんごの本場アメリカが代表的です。
また、バルサミコ酢は北イタリアのモデナ地方で1000年以上前から作られているお酢で、バルサミコとはイタリア語で「誇り高い」という意味。イタリアンの高級料理には欠かせない調味料です。
ワインの国といえばフランス。この国で、一番ポピュラーなお酢がワインビネガーです。
ブドウを主原料に使うので、ぶどう酢と呼ばれることもあります。
“地元で生産されたものを地元で消費する”
調味料一つとっても各国・各地で地産地消が行われているってなんだか良いですね。
親しみやすさと愛着がわいてきませんか?
『酢』の上手な選び方・賢い買い方のコツ
良い酢を選ぶには、原材料は「米」や「リンゴ」というようにシンプルで、 アルコールを使っていないものがオススメです。
酢には穀物や果汁を醸造してつくる「醸造酢」と科学的に合成する「合成酢」があります。合成酢の価格は安く、栄養的には醸造酢の方が優れます。合成酒だからといって栄養価が低いということはありません。
醸造酢の味や香りは原料と製法によって異なるので、いろいろ試して好みのものを見つけると良いでしょう。
『酢』の保存方法
酢は、種類によって保存方法が異なります。
≪米酢や穀物酢など混ぜ物をしていない酢だけの場合≫
冷蔵庫に入れる必要はなく冷暗所においておくだけでかまいません。台所の流し台の下でも大丈夫です。
≪ぽん酢や調味酢などの混ぜ物がある酢の場合≫
酢の含有量が100%でないため、腐敗する可能性があります。そのため、保存は冷蔵庫を使いましょう。
また、調味酢でなく、酢を割ってドリンクにしたら、すぐ飲み切りましょう。
いずれにせよ、基本的には、酢自体が強力な殺菌力をもつので、長期保存できます。
ただし、香りが飛ばないようにきちんと蓋をしましょう。
保存容器はガラスやホーロー製のものがオススメです。金属だと、強い酸が金属を溶かすので使用しないでくださいね。
酢を使った料理であるピクルス、らっきょう漬けなどの酢漬も腐りにくいため、長期保存できます。これは酢の主成分である 酢酸に細菌の増殖を抑える防腐効果があるからです。
食欲増進と疲労回復にもってこい!『酢』を使ったレシピ
酢を使った料理を取り入れることで、酢の持つさわやかな酸味が嗅覚と味覚 を刺激し唾液や胃液の分泌を促し食欲 を増進させます。
また、酢を料理に取り入れることで、素材の旨みを引き出し、味に奥行きを与えるため、塩味を引き立たせる働きがあるため。減塩にも効果的です。
運動をしたあとに「疲れた」と感じることはありませんか? こんな時、人は飲ん?だり食べたりしてエネルギーを補給しますが、酢を一緒に摂るとエネルギー源を効率的に再補充し、疲労回復のお手伝いをします。
赤やオレンジ、黄色に緑。いろんな色のミニトマトは見ているだけで心が躍ります。
そんな可愛い可愛いミニトマトを三杯酢に漬け込んでいただきます。
トマト独特に酸味とは違った酸味をお楽しみください。
ごはんに合うおばんざい『ふっくら肉団子の甘酢あん』
玉ねぎがたっぷり入った肉団子はカリッと揚げて中はふっくら。一度揚げるのは手間かもしれませんが、丁寧につくるからこそ、おいしく仕上がります。
手作りの甘酢あんは絶品!お弁当に夕飯にぜひ。
サラダにもグリルにも!超万能『バルサミコドレッシング』
こちらは日本人の口にも合うドレッシング。どのサラダにも勿論合いますが、カジキのソテーなど、白身魚系のグリルのソースとしても活躍してくれますよ。
真っ赤に染まる彩りを楽しむ 赤大根の酢漬け〜柚子風味〜
赤大根に含まれるアントシアニンと酢は化学反応を起こしてきれいな紅色に染まります。おかずとしてはもちろん、メイン料理の付け合わせやお弁当の彩りにもぴったり。
柚子胡椒をアクセントに『ごぼうとれんこんの和ピクルス』
お弁当にあると、ちょっと箸休めになる酢の物。
酸っぱ過ぎず、かといって甘過ぎず、「合わせるだけ→加熱するだけ→冷まして漬けるだけ」で簡単に作ることができるんですよ。
和の食材を使った和風ピクルスです。
心のリフレッシュに大人の簡単デザート『オレンジ風味バルサミコ酢アイスクリーム』
アイスクリームにオレンジ風味のソースをかけると、いつものアイスクリームもぐっと風味がアップします。
少しの手間でいつもと違う味を。おうちのくつろぎタイムにぜひ試してみてくださいね。
お正月のワインのお供に すっぱいのが苦手な方におすすめ『大根と柿の洋風なます』
おせちに欠かせない「なます」。
でもあのすっぱさが苦手な方もいますよね。そこで大根と柿をイタリアの調味料で味付けした「洋風なます」はいかがでしょうか?
酢には食欲増進や疲労回復などの身体に嬉しい効果もありますが、調理する時に役立つ力があります。
・魚の生臭さを消す
・野菜をゆでたり煮たりするときに美味しい色合いに仕上げることが出来る
・野菜や果物の変色を抑える
などの効果があります。
酢の活躍の場は、お料理だけではありません。
こんなところでも嬉しい働きをしてくれます。
大人のエチケット足の臭い対策 自宅でできる『簡単フットケア』
大人のエチケットとして気をつけたいコトのひとつである足の臭い。
友達の家や座敷の席で、足の臭いが気になって靴が脱げないなんてことはありませんか?
実は足の裏ってとても汗をかきやすい部分なのです。まだ寒いからと何枚も重ねばきしていると蒸れてしまっていることがあります。
一口に「酢」といっても種類はさまざまです。酢を効果的に使えばぐんと料理が美味しくなります。賢く上手に料理に取り入れましょうね。
記事:ケノコト編集部
(ライター 影山奈々恵)