1年中出回っている人参や大根、蓮根にごぼう。
実は秋冬が旬の根菜類は、栄養的にも寒くなるこの時期に是非取り入れたいものばかり。
でも泥がついていたり、灰汁が出たり、下ごしらえが面倒!?
そんなことはありません!
簡単に出来て栄養も満点の滋味あふれる根菜料理、是非チャレンジしてみましょう。
根菜類って根っこなの?
「根菜」と言うからには、根っこの野菜なのかな、と思っている方も多いのでは?
根菜類とは食べられる部分が土に埋まっている野菜の総称で、厳密に言うと根の部分だけではなく、地下茎という土の中の茎の部分や、鱗茎という球根部分を食べる野菜も含まれます。
根の部分を食べる野菜としては、大根や人参、牛蒡やさつまいもなど、地下茎を食べるものとしては、里芋やしょうが、蓮根やじゃがいも、鱗茎の食べるものとしてはにんにくや玉ねぎなどが代表的。
きれいに泥が落とされているものが多いけれど、どの根菜も土の中に隠れていたものばかり。そして、夏の日差しをたっぷりと浴びて、地上の葉で作った栄養を、春にまた芽吹いていくためにたっぷりと貯めている部分でもあります。
根菜類の栄養、余さず摂ろう!
根菜類は総じて食物繊維が豊富。ビタミンやミネラル、糖質も多く、身体を温めてくれる野菜です。
それぞれの野菜は調理法や使う部分によって栄養が異なります。
代表的な野菜は特に覚えておきたいものです。
大根
大根には消化を助けてくれる消化酵素がたくさん含まれています。ただ、この消化酵素は熱に弱いのが難点。胃もたれがするなら、生で食べられる大根おろしにして食べるのが効果的。
また、ビタミンCや食物繊維、カリウムなども豊富ですが、水溶性なので煮ると流出します。煮汁ごと食べられる汁物がおすすめです。
また、だいこんの皮や葉も栄養満点。人参の皮と合わせてキンピラにしたり、葉でふりかけを作ると美味しく食べられますよ。
人参
人参はβカロチンが豊富。βカロチンは体内でビタミンAに変換されます。このビタミンA、皮膚や粘膜を守る働きがあり、肌の健康維持はもちろん、風邪などを防ぎ、免疫力アップにも役立ちます。
カロチンは油と一緒に摂取すると吸収が良くなります。特に皮に多く含まれているので、皮ごと使ったり、厚めにむいた皮をキンピラにして食べたりすると良いですよ。
牛蒡
ごぼうは特に食物繊維が豊富。便秘予防はもちろん、大腸がん予防にも効果があると言われています。
その他にも炭水化物やカリウム、カルシウムやマグネシウムなど、ミネラルも多く含まれます。
特に皮部分の栄養価が高いので、皮は剥かずにたわしなどでよく泥を落とすのが正解。
アクと言われるものは実はポリフェノール。
水にさらすと中に含まれるポリフェノールやごぼうの旨みが逃げてしまうので、色を気にする料理でない限り、切ったらそのまま使いましょう。ごぼうの旨味がたっぷり溶け込んだ煮汁が味わえますよ。
蓮根
蓮根はビタミンCやカリウム、タンニンが豊富。特に蓮根のビタミンCは加熱しても壊れにくく、抗酸化効果や免疫力アップに効果的。どの栄養素も水溶性なので、水にさらすと溶け出してしまいます。酢水にさらす時は5分以内にしましょう。煮汁ごと食べられる汁物はもちろん、蓮根のビタミンCは加熱しても減少しにくいので、焼いたり揚げたりするのもおすすめです。
生姜
根生姜の旬は実は9〜11月。生のままだと夏場にぴったりな生姜ですが、加熱すると身体を温めてくれる成分が増加します。血行促進効果や抗酸化作用も高く、正に冬にとりたい食材です。
生姜もやはり皮の近くが一番栄養価が高いので、泥をよく落として皮ごと使うのが理想。皮が気になる場合は、包丁だとむき過ぎてしまうので、スプーンで削り落とすのがおすすめですよ。
丸ごと美味しくいただこう!
今が旬の根菜類、今まで常識と思っていた下ごしらえをしない方が、栄養価が上がったり、旨味が出て美味しくなることも。
その上、捨てていた部分も美味しくいただくことができるのです。
我が家の定番は大根の皮や人参の皮、生姜の皮やキャベツの芯、ブロッコリーの芯やニンニクの芯、椎茸の軸など、クズ野菜として出る部分を全部みじん切りにして、挽肉と炒めて作ったドライカレー。切り干し大根などの干し野菜を入れても美味しくできます。
おでんの大根やポトフの人参の皮を厚めにむいて貯めておき、ある程度貯まったら作るきんぴらも食感が楽しめて美味しいですよ。
大根やかぶに立派な葉がついていたら、少し塩もみして、胡麻油で炒めてふりかけに。ベーコンや胡麻を入れて甘辛にすると、子供にも食べやすくなります。
ごみも減って栄養も取れてその上美味しい、と一石二鳥どころではありません。
是非根菜の栄養、余すところなく丸ごと楽しんでみてください。
コラム/やこかおり
幼い頃から旅行好きの父に連れられ、世界各地の料理を食べ歩いた経験から、食に関する好奇心が人一倍旺盛。高校の授業で食品添加物について調べた時の衝撃から、できる限り添加物のない食品を求めるようになる。
一男一女の母となってその気持ちはより一層強くなり、手元にある材料で、無理せず楽しみながら続けられるような、自家製にこだわった食事作りを日々心掛けている。