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世界最高のオイルと称される「ギー(Ghee)」の魅力と美味しい使い方

インド大陸を中心とした南アジアの様々な国で、食用や、その他に使用されているオイルのギー。(英語表記:Ghee)インドの伝統的医学アーユルヴェーダでも、様々な健康効果を得られる万能オイルとして、昔から「最高の油」と称されています。その成分が科学的にも解明されてからは、欧米や日本でも「ダイエットオイル」として「免疫力アップ」などの健康効果が期待できるオイルとしても、注目されています。料理を作る上でも、香り豊かで美味しいギーの魅力や特徴、保存方法などをご紹介いたします!

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■ギーとは?

歴史は古く、インド大陸と中心とした南アジアで昔から作られ、食用、マッサージオイル、(火をつけても煤がでないことから)祭事のランプオイルなど、様々に使用されています。

永久保存が可能とも言われるオイルで(発酵食品ではありませんが)日本でいえば味噌や醤油のように古くから、生活の中に息づく存在です。

どうやって作られているの?

キーの原料は、牛やヤギなどの生乳。伝統的なアーユルヴェーダのレシピでは、生乳を沸騰させ、長時間高温で煮詰め、水分と不純物(タンパク質など)を取り除き、一晩寝かせて作られます。バター作りと煮ていますが、ギーにはタンパク質を加熱することで起こるメイラード反応にて引き出された、独特の香ばしい香りがあることが特徴です。現在では、牛で作られた発酵無塩バターを利用して作ることが一般的となっています。

アーユルヴェーダとは?

アーユルヴェーダは3千年以上前にインドで発祥した、世界的にも歴史の古い医療体制の一つです。日本でもインド旅行やヨガを通じてアーユルヴェーダを知り、そこに基づく食事方などを取り入れている方も多くいますが、そのアーユルヴェーダの中でギーは、マッサージオイルとして肌に塗ってもよし、体内の不調を治すために食べてもよし、の万能オイルとして使われています。

(アーユルヴェーダで古来からギーにある伝えられていた効能は、現代では、科学的にも成分が分析され、数々の科学的根拠が証明されています。)

ダイエットオイルとしてのギー

ギーが作られる元となるバターは「飽和脂肪酸」です。(肉の脂などが代表格ですが、美味しいけれどダイエットには極力避けたい脂質です。)

ですが、嬉しいことに、そのバターから作られたギーにはこの3つの成分が多く含まれることがわかっています。「中鎖脂肪酸」と「短鎖脂肪酸」と共役(きょうやく)としてセットになっているのが「リノール酸」です。

「中鎖脂肪酸」…吸収されると速やかにエネルギー源になる脂肪酸

「短鎖脂肪酸」…体脂肪になりにくい脂肪酸、腸内の悪玉菌の繁殖を防ぎ整腸作用がある。

「リノール酸」…脂肪の分解や燃焼に不可欠な酵素に働きかけ、脂肪燃焼を促進する

この成分3つの働き全てが、ダイエットには強い味方となるのです。

ですがもちろんオイルですので、摂り過ぎはオーバーカロリーのもと。一日の摂取量はスプーン(小さじ)1杯程度で十分といえます。(食べ過ぎると体内の脂肪となりやすく、血管の流れをも悪くしてしまう一因になることも。)

■免疫機能を向上させるギー

ブチル酸が含まれている

ギーに多く含まれる「ブチル酸」と呼ばれる栄養素が、免疫機能に働きかけ、善玉菌を増やす働きがある。

免疫細胞の「ヘルパーT細胞」を増やす

アレルギー症状・炎症・がん細胞を対して(キラーT細胞に変化して)攻撃する免疫細胞の「ヘルパーT細胞」が、ギーを摂取することで増えるため、アレルギー症状の緩和や炎症が原因の不調を緩和させることが期待できます。

■ギーは栄養も豊富

栄養も豊富でビタミンはA.D.Eが含まれる。

ビタミンA…目の不調を改善。目の健康維持。視機能の改善。鼻や喉などの粘液強化。

ビタミンD…丈夫な骨を作る。骨粗鬆症の予防。

ビタミンE…抗酸化作用。体内の細胞、肌、髪などを酸化させず保つ。

以上の栄養からも「生活習慣病予防」や「アンチエイジング効果」などが期待できる優れたオイルなのです。

(ただし、ビタミンはA.D.Eは脂溶性のビタミンですから、過剰摂取は禁物です。)

■ギーを料理での使い方は?

ギーの独特なその香りを活かし様々な料理に使っていく事が出来ます。口に含むとバターよりも更に香りの伸びが良いので、風味豊かに感じます。

そのまま塗る、溶かして飲む

バター同様で、パンやカレーのナンなどに塗って食べると、香ばしい香りを楽しめます。

また、コーヒーに少量溶かして飲むのも美味しいですし、ホットミルクに溶かして飲むと牛乳とギーとで整腸作用が高められ便秘改善のためのドリンクにもなります。(コーヒーやホットミルクをカップ1杯に対して、ギーは1g程度の少量でお試しください。)

調理オイルとして加熱して使う

ギーの風味と料理の相性を知るために、おすすめしたいのはフライパンにギーを落として、スクランブルエッグやほうれん草のソテーなどシンプルな料理を作ってみてください。いつもとは一味違った豊な香りになります。

インド大陸から来たオイルですから、もちろんインド料理には最適。国民食と言われるほどカレーの好きな日本人ですから、自宅でカレーを作る際などには肉や野菜を炒める際にギーを使うと、コクが出て美味しくなります。(炊き立ての白飯にギーを溶かしてカレー用のご飯するのもおすすめです。)

ギーは(和食の刺身など淡泊な風味を活かしたい料理の際には不向きですが)インド料理以外にも、洋食、イタリアン、その他、パンチの効いた強い風味やハーブやスパイスの香りが強い料理を作る時には、大変相性の良いオイルです。焼き菓子作りの際にも、味に深みを出してくれます。

■ギーの保存方法

保存にあまり気を使わなくても良いことも、ギーの魅力のひとつ。常温で長期保存が可能。ビタミンEが豊富なことから酸化しにくいのです。(元となるバターは要冷蔵で腐ることがありますが)ギーは不純物が全くない、抗酸物質が豊富のため「永久保存が可能」とも言われており、インドでは今でも100年以上経ったギーが高価なものとして、重宝されている他に類をみない特徴を持つオイルです。

■おわりに

ギーと呼ばれるのは、アーユルヴェーダのレシピを大元に作られたものですが、製法や性質が非常に似通った類似するバターオイルは、世界的にも多くの地域にもみられます。例えば、フランス料理のブール・ノワゼットをつくる際に作られる焦がしバターもこの一つとも言えます。

例え素敵な健康効果があっても、やはり「美味しい!」と思えないと、料理にも使わずに、折角の良いオイルも効果が得られませんが、様々な国や地域で類似したオイルがあることは、ギーが美味しいオイルである理由の一つとも言えるのではないでしょうか。

ぜひ一度世界で「最高のオイル」と称されるギーをお試しください!

ライター;ふたば

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